【Disc15】
モーツァルト: 『レクィエム ニ短調』K.626(ランドン版)
~ブルーノ・ヴァイル(指揮)、ターフェルムジーク・バロック管弦楽団、マリーナ・ウレヴィッツ(Sp)、バルバラ・ヘルツル(Ms)、イェルク・ヘリング(T)、ハリー・ファン・デル・カンプ(Bs)、テルツ少年合唱団
CD30枚にも及ぶboxセットの鑑賞の旅も、やっとこさ半分に来た。
モーツァルトのレクイエム(鎮魂ミサ曲→要はキリスト教版のお葬式の音楽)は古来つとに知られた名曲だが、僕はカラヤン盤しか所有して居なかった。
だが常々僕は思って居た事だが、このヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮する宗教声楽曲は、魂や心が籠って居ると言うよりも、何か何処か作為的なわざとらしさを感じさせる、真に感動出来る演奏は余り無い様に思って居た。
もちろん彼は常に、所謂カラヤン美学・カラヤン芸術を全開にした、音の表面をピカピカに磨いた妖艶で美しい演奏な事は、このモーツァルトのレクイエムとて全く同じなのだが、それが殊に宗教声楽曲の再現・演奏となると、帝王カラヤンの志向する方向性やベクトルは、本来とは別の方向に行ってしまって居る様に、僕には時として思えてしまうのだ。
だがこのブルーノ・ヴァイル盤のモーツァルトのレクイエムを聴いてみて、僕はカラヤン盤よりもこちらの方がしっくり来た。
余計に飾り立てる事無く、さっぱりとした音感に仕上げて、素朴に丁寧に演奏する。
こちらの方が、鎮魂ミサ曲の再現・演奏には相応しいのではないか?
僕も伯母や義父が相次いで亡くなり、こうした古典作品のレクイエムが、しみじみと心に染み入る様に、やっと最近この年齢に成って、少しづつ感じられる様になって来たものだ。
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