
僕がクラシック音楽の世界に本格的に深く分け入る様になった、今から28年間も前の徳島大学生時代。
僕はいつも徳島駅前のクラシック音楽専門店の「アート・レコード」さんで、CDを購入していた。



当時バッハ音楽に開眼したばかりのまだ若き大学生だった僕は、バッハの音楽に傾倒し、そのアート・レコードさんでこうしたラ・プティット・バンドが演奏するバッハのCDを買い漁っていた。


するとある時、それは確かバッハの管弦楽組曲全集とブランデンブルグ協奏曲全集のラ・プティット・バンド旧盤(上記写真)を購入して会計を済ませた時、店主さんが静かにおもむろに仰った。
「今貴方がお選びになったラ・プティット・バンドは、世界最高のバロック演奏団体です。」


このシギスヴァルト・クイケンさん(バロックバイオリン)が率いる、日本人メンバーを多く擁するこのラ・プティット・バンドのバッハ演奏には、僕はもう予てから耳が慣れ切ってしまっていたが、今回、28年前当時に既にとても話題で大好評であったラ・プティット・バンドのモーツァルト4大歌劇のライブ録音に今改めて接して、僕は28年前にアート・レコードの店主さんから聞かされた言葉を、如実に実感し再認識させられた。

いや、このラ・プティット・バンドって、マジの真面目の本当に冗談抜きで、世界最高の古楽器演奏団体ですわ。
一発勝負のライブ録音のはずなのに、一体何なのよ、この管弦楽団員・合唱団員・ソリスト・歌手達の異常に極度なまでの集中力の高さと来たら、どうだ。全く信じ難い。

故・磯山雅先生も1997年当時にかの名著「マタイ受難曲」の中でも仰っておられた通り、「ここ最近急速に上がって来ている古楽器演奏団体の演奏技術水準」が、この時点で最高に到達している事を、否が応にも耳に直に感じさせられるボックスセット(CD合計12枚)だ。

最初の「歌劇:フィガロの結婚」から始まり、「歌劇:魔笛」まで、本当にどれも最高に素晴らしいライブ名演奏だ。

特に僕は「歌劇:コジ・ファン・トゥッテ(『女は皆こうしたもの』の意味)」を目当てに今回のCDボックスセットを購入したのだが、これがかの音楽評論家の故・吉田秀和先生がレコード芸術誌上で激賞したと伝えられている通り、メタ糞にエネルギッシュで燃焼度と集中度は超メタ糞ボンバーのパワー全開大爆発ってなもんでして。
どのディスクの全編どの演奏の瞬間・時間も、全く全然弛緩する一瞬すら見せずに、管弦楽団・合唱団・歌手陣が完全合体の一体化している完全燃焼で集中力最強な至高最高の大名演を繰り広げる。
28年前からこの盤と演奏は話題だったが、今になって聴いてみても、腰を抜かして驚嘆するに値する超大名演奏。
このCDを聴いているだけでもリスナーのこちらにビンビンのバンバンに熱気が伝わりまくるが、この演奏者達は全員、管弦楽団・合唱団・歌手陣の一人残らず全員に至るまで、モーツァルト歌劇を演奏する事自体を、心から愉悦し楽しんでいるのだろう。

しかも僕はこのCD12枚組のモーツァルト4大歌劇ボックスセットを、HMVオンラインにて、何とたったの1800円(消費税、送料、手数料込)で入手した。
しかも新品だぞ。まるで中古品以下の値段じゃねぇか。
その僕の購入後、この商品は倍以上のお値段にいきなり跳ね上がってやんの。
ざまぁみやがれ。
本盤は輸入盤だから故に、恐らくは円安の関係だろう。
このたったの1800円のCD12枚は、もう絶対に間違いなく僕の人生の宝物であり、文化財産だ。
俺はまたしても、人生の宝物を探し掘り当てた。
俺はこの名盤セットのモーツァルト歌劇CD群を、これからも終生死ぬまで聴き続けるだろう。
主イエス・キリスト様、本当に心より深く感謝申し上げる次第で御座います。アーメン。
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