職場の子持ちの女性職員に、この夏休みの子供向け映画である劇場版:ベイブレードのチケットをタダで2枚も頂いてしまったので、昨日、妻と2人で観に行って来た。
最初、チケットを2人で持ちながら大の大人が2人と恥ずかしいので、エントランスで観たそうにしている子連れ親子とか見掛けたらチケットを譲渡してしまおうかと妻と言っていたのだが、直ぐに開映時刻が到来し、妻と苦笑いしながら子供達ばかりのスクリーンに移動し、着席した。
やはり周囲は子供や子連れ親子ばっかり。
でもチケットを良く見たら、何だよコレ、このベイブレードって漫画はあの小学館発刊の月刊コロコロコミックの連載漫画ではないか!!
俺は正に小学校低学年(2~3年生)時代、コロコロコミックの大ファンで、良く読んでいたよなぁ・・・!
映画チケットを下さった女性職員さんのお陰で、懐かしさが込み上げて来たぜ。
当時は小学館のコロコロコミックと講談社のコミックボンボンがライバル同士の月刊子供向け漫画雑誌で、双璧であった。
「おいお前、コロコロコミック買って来い!」と餓鬼大将にパシられ、間違えてコミックボンボン買って来て怒られていた可哀想な奴も居たっけね(笑)
コロコロ派とボンボン派の両者が仲間内に存在し、或いは潤沢なお小遣いを親に与えられていたムカ付く腐れ餓鬼(って言い方する事も無いよなぁ)はそれら2誌に加えてジャンプやマガジンやファミコン通信を購入してやがったが、俺は親からそれほどお小遣いを与えられていなかった為、月刊コロコロコミックの値段(当時、確か330円か340円ほどだったと思う)でさえ当時の俺には巨額でとても新規購入は不可能であった。
そんな家がオカたい俺の事情を周囲の心温かい友人達は察してか、既に読み終わったコロコロコミックを俺に良くくれたっけね。
それを俺は宝物の様に大事にしては自宅に持ち帰り、貪る様に読んでいたと思う。
当時のコロコロコミックでは、漫画のモチーフは「ファミコンゲーム(初代)」であったり、「サッカー」であったり「野球」であったりとかだったよな。
小林よしのりさんの「お坊ちゃまくん」も当時大人気だったな。
へぇ、今でもコロコロコミックは存在するのだな。
しかもモチーフは独楽(こま)と来たもんだ。
言ってみれば、独楽バトル漫画って訳か。
独楽(コマ)は物体の自回転により生じるジャイロ効果によって安定を呈する。
高等学校で物理を履修した人間にとっては理解は容易い。
ジャイロ効果とは、一般には物体が自転運動をすると(自転が高速なほど)姿勢を乱されにくくなる現象を指す。
つまり、子供達が上記写真の様な、この漫画の商品の独楽(コマ)を使って友人達やライバル達を蹴落として勝負に勝ちたいと思ったら、最初に独楽(コマ)に付与する回転数をなるべく上げる必要がある。
この夏休みの自由研究のテーマは、この独楽の運動原理に付いてってテーマでも面白いかもね、ベイブレードファンの小学生諸君。
鑑賞中、俺は、あの小学生時代の興奮と熱狂が再び心の内に喚起され、意外と楽しめて面白く鑑賞出来た。
ネタバレになってしまっては、これから鑑賞する小学生諸君に申し訳が無いので余り内容に踏み込んだ話は書きたくはないのだが、今回の子供向け映画は、俺から観て少し気になる内容でもあった。
今回、主人公の銀河君陣営に対して立ちはだかり、壮大な遠大な計画を完遂しようとその急先鋒の実行役としてヘリオス君(古代ギリシャ神話の太陽神の名前)が登場する。
彼は太陽の力を結集し封印した、主人公陣営がそれまで対峙した事も無い様な強大無比の圧倒的パワーを見せ付ける。
ここで俺が個人的に気になったのが、敵側、つまりハキム(ヘリオスの養父であり師であり、俺に言わせれば官職は最高大神官と言った所の様だ)とヘリオスのイデオロギー(主義・主張・大義名分)。
彼等曰く、我々古代アトランティス文明の人間達は過去の古代にこの地球人類達の手によって滅ぼされた。
だから今こそ地球人類を根絶やしにして滅ぼし、我々アトランティス文明がそれに取って代わるのだと言う明確な目的を持って主人公:銀河君達に立ちはだかる訳だ。
それを「純粋な白き心」を持った銀河君達は、「おいお前、一体何でこんな事をするんだ!?目的は何だ!??」、「そんな事は絶対にさせねぇ!俺達がこの地球を守るんだっ!!」、「おいジジィ(ハキムに向かって)!お前の相手はこの俺だ!お前は迷惑なんだよぉお!!」と純情な少年らしい、実に威勢良く元気一杯に強大な未知の敵に対して全く臆する事無く怯む事無く迎撃する。
古代アトランティス文明・・・。
あぁ、またしても俺の小学生時代、古代アトランティス文明(それと古代ムー文明)の名前や存在を校内定期発売の図書で初めて知ったっけね。
古代アトランティス文明とは、哲学者プラトンによって伝承された、かつて遥か太古の昔に存在したとされる伝説の文明と大陸。
現代の我々よりも遥かに高度な文明を築き上げ、今回の劇中にも登場した伝説の金属「オリハルコン」を駆使し栄華を極めたが、ある日、民に対して絶対的権限を持つ神官達の罪と堕落と退廃により神の怒りを受け、一夜にして海中に没して滅んだ。とされている。
(話は逸れまくるが、つまり古代アトランティス文明において政治的権力の首長に在った者「神官」が、宗教的権限の首長をも兼ねる事、これが正に本ブログのタイトルにも有る皇帝教皇主義と呼ばれる政治・宗教形態)
その所在は、大西洋上か、地中海上かの論議は今でも為されているが、現在確認出来ているクレタ文明やミノス文明、或いはそれらを総称したエーゲ文明は、かつての古代アトランティス文明の遺残なのではないかと巷間噂され続けている。
また、今から15年程前、我が国のテレビにしばしば出演していた霊能者である三穂希祐月さんの著書に拠れば、現代の人類の文明は聖書やその他の預言通りに一度破滅・滅亡して、新たに全く新しい文明が発祥するが、その時にはムー大陸もアトランティス大陸も再浮上し、再び彼等の文明が復活するらしいのだが・・・。
俺が映画を観ていて思ったのは、俺がこの作中に登場する人物であったとしたら、間違い無く、敵側に呼応して付いた。
彼等の主張こそが、俺には是と映り、より正しい選択肢であろうかと思えたからだ。
俺が大学時代学んだ最大の事柄の一つ。
「正義や正しさや真理などと言ったものは、決して絶対的なものではなく相対的なものに過ぎない。」
超頭の良いインテリのK先生から教わった事だ。
主人公の銀河君達は劇中、必死に地球を守ろうと敢然と仲間で一致団結して闘い抜いた。
だが、果たして今の世界や地球は、そこまでして守る価値などあるだろうか・・・??
実は我々の住まうこの現在の地球・世界環境は、もうとっくに既に破綻しており維持は到底不可能である事は、世界の優秀なトップ科学者達や政治エリート達はとっくに知っている。
それならばこんな世界にはさっさと見切りを付けて、新しい選択肢や可能性に賭けてみるのも一つの前向きな選択なのではないか??
俺だったら、主人公陣営を裏切って、敵側に付くな。
それは、この劇中にも描かれている様に、少年達特有の純粋で純情な心と精神を、この俺が歳を経て失ってしまったからだろうか・・・?
気が付けばこの俺も、己の利得と欲得と打算と都合と虚飾に塗れて立派に誇らしく胸を張って人生を歩んでいる。
小学生向けの漫画映画で、そんなに深く考える必要など無かろうか・・・。
映画が終わり、いつもはちゃんとエンディングまで見終える妻はそそくさと足早に俺よりも先に出て行った。
その後を、更に早く走って小学生の一団が走り去っていった。
「来いアルファード!!さぁベイブレード行くぜぇえ!!!」
妻と2人で嬉しそうにはしゃぎ回る小学生達を見て、目を細めながら映画館を後にした。